君の声が、僕を呼ぶまで
「おじゃましました」

「飯田君、ありがとうね」

小春のお母さんが言った。


「いいえ、僕は…」

「たくさん味方がいて、小春も本当は嬉しいのよ」

ニコッと笑って「気を付けてね」と、送り出してくれた。


外は陽が沈んでしまって、街灯の灯りがポツポツ連なり始めている。

紺と黒のグラデーションに変わった空を見上げた。

星が、1つ、2つ、3つ…いっぱい。


名前が広く知られている小さな星、やたら明るく見えるのに名前が知られていない星。

この世界も同じだ。


明るさとか、大きさとか、知名度とか、そういうのじゃなくて。

大きい星も、小さい星も、明るい星も、消えそうな星も、名のある星も、名もなき星も。


その中で自分にとって意味があるものは、それが自分の世界にとって大事なものだから。


世界はきっと、こんなふうにして、成り立っている。
< 337 / 389 >

この作品をシェア

pagetop