君の声が、僕を呼ぶまで
帰ろう。

そう思って、視線を空から戻すと、そこに小春が立っていた。


驚いた顔をしてる。

おつかいから帰って来たんだろうな。

夕暮れの教室と同じ。

僕が家の前にいるから、困っている。


「僕、サラと約束してきた」

小春の顔が、余計に驚きを増していく。

「君の力になりたいって、君の味方をするって」

僕のその言葉で、買い物袋を握る手に力が入ったようだ。


「明日、迎えに来る。教室まで一緒に行こう。入れなくても。明後日も迎えに来るから、教室まで一緒に行こう。明々後日も、その次も、君が諦めそうになっても、僕が代わりに諦めないから」

そうだ、諦めない。

「サラが見送ってくれた後は、僕がそのバトンを受け取るから。サラとそう約束したから」


小春が、嬉しそうな泣きそうなどうしていいか分からないような、そんな表情をしてる。

「だから、一緒に頑張ろう?」

僕のその言葉に、小春は今までで一番、力強く頷いてくれた。
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