君の声が、僕を呼ぶまで

●無機質で、出逢えた君に、出逢えた世界

瞼の裏の真っ暗な世界に、ほんのりと明るさが灯る。

ゆっくりと目を開けてみれば、痛い位の眩しさに襲われた。


朝陽がカーテンの隙間から、まばらに差し込んでいる。


その一筋が、悪戯に揺れたカーテンによって進路を変え、目覚ましよりも一足早く、朧気な夢に終わりを告げたようだ。


まだぼんやりとしている意識を引きずったまま、重たい体をベッドから起こす。


薄暗い部屋と外の世界を隔てているカーテンを、まるでプレゼントの包みを前にした時のように慎重に、そして形容しがたい淡い期待と緊張感と共に、そっと開く。



―――むせ返るほどの六月の青空。

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