君の声が、僕を呼ぶまで
「2人とも、小春のためにありがとうね」

お母さんが言う。

いつもと変わらない声なのに、いつもより、泣きそうな声に聞こえた。

私は、何となく気恥ずかしくて、久しぶりに、もたもたと靴を履く。


「ほら、小春。お待たせしてないで」

前は、子供みたいに、靴を履いた後も渋って、玄関に座ったままだったけど。

同級生の前で、そんな子供っぽい事、したくない。

お母さんが言うように、迎えに来てくれてる2人を待たせるのも悪い。


それに…学校に、行きたい。


チラっと顔を上げると、飯田君と目が合った。

せっかく上げた顔を、また下に向けてしまう。

立ち上がるタイミングを逃しちゃった…。
< 344 / 389 >

この作品をシェア

pagetop