君の声が、僕を呼ぶまで
飯田君は、本当に昨日、初めて話した。

話したというより、関わった。


私はそれまで、彼の顔も名前も知らなかった。

存在すら知らなかった。

それは、彼だけが私の世界から弾かれていたんじゃなくて、そもそも私の世界には、両手で足りるくらいの人しかいなくって。


綺麗な例え方をするなら、夜空の星。

無数に存在しているけれど、ただそれだけ。

いちいち数えないし、名前を調べないし、いつの季節、何時に、どの方角に見えるか。

それに興味と関心を抱くかどうかだと思う。

私にとって、無数の星は、言葉通り、星屑だったから。

綺麗な例えで取り繕うのは難しいね。
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