君の声が、僕を呼ぶまで
ずっと、ずっと、見ていたって。

全然気付かなかった。


正直、少しだけ、怖いと思った。

でも、一度も、怖い想いをさせられた事はなかった。

それだけ、彼は見るだけという事に徹していたんだろうし、そうやって、自分を救ってくれた人を見続けていたいっていう気持ちは分かるから。


ノートや書類で顔を隠して、雪人先生を覗き見するのが楽しかった。

そういう気持ちにさせてくれる存在がいてくれる事が嬉しかった。


飯田君は、私の世界の外から、ずっと私の境界線を侵さないようにしてくれてたんだね。


私の中で彼の存在は時間の流れとは繋がってなかったけど、彼の中で私の存在は繋がっていたという事を知ると、これも不思議と、すんなり私の世界に入ってきた。
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