君の声が、僕を呼ぶまで
私は顔を上げ、立ち上がった。

お母さんが、「いってらっしゃい」と言う。

「はい、サラも、いってらっしゃいのチュウして」

と、サラの顔を私に近付ける。


それも、毎朝の事。

お母さんに抱きかかえられて、目線の高さが同じになったサラが言った。


「僕は、桜子と智秋と約束したんだ」

「え?」

「小春を一緒に幸せにしようって」


サラが、桜子ちゃんと飯田君に向かって、お辞儀をするように、丁寧に、

「約束だよ、バトンタッチだ」

と言った。

桜子ちゃんと飯田君が、「任せて」と言わんばかりに頷いた。


「え…?」

サラの言葉、通じてるの?
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