君の声が、僕を呼ぶまで
桜子ちゃんと、飯田君と一緒に、階段を昇る。

またしても、立ちはだかる階段を前に、2人は、私の両隣を同じペースで昇ってくれた。


そして、いざ教室の前。

「小春…」

桜子ちゃんが、少しだけ、心配そうな目で私を見てる。

「昨日の今日だし、無理はしなくていいからね」

優しく、気遣ってくれてる。


飯田君はクラスは隣だけど、一緒に私の教室の前にいてくれてる。

その時、ふと飯田君の手が、私の頬に触れた。


「…っ!?」

思わず、身構える。

「サラが、キスしてくれたところ」

あ、確かに、そこだ…。


サラのキスの温もりの残りのせいか、飯田君の手の温もりが恥ずかしいせいか、自分の頬が熱くなっているのを感じる。


…あれ、少しだけ、不安が軽くなったような…
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