君の声が、僕を呼ぶまで
「コレ」

飯田君が、ポケットから、黒ネコ柄の絆創膏を取り出した。

昨日も見せてくれた、クタクタになった絆創膏。


「ずっと、僕を守っててくれた。僕と一緒に、ずっと君を見守ってきた」

大事そうに、その絆創膏を見つめている。

「サラと同じ黒ネコ柄だから、コレ、持ってるんでしょ?」

私は頷いて、自分のポケットから、同じ黒ネコ柄の絆創膏を出す。

最後のお守り。


「サラもここで見守ってくれてる」

私の手を取って、手の平に、クタクタの絆創膏をペタリと貼る。

「あの日、僕の手の平の傷には、もったいなくて使えなかったけど…」


そして、私の手に自分の手を重ねて、祈るように指を組んだ。

「このお守りが、最後に力を貸してくれますように…」

「そうだよ、皆、小春が頑張れるよう、祈ってるんだよ」

桜子ちゃんが、私と飯田君の手に、自分の手を重ねる。
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