君の声が、僕を呼ぶまで

●言の葉ひらり、それは優しく、愛しい世界

放課後の保健室。

桜子ちゃんと、飯田君、沙羅ちゃんも一緒に来てくれた。


雪人先生が、黙って私の頭を撫でる。

何度も何度も。


クラスの子達の、驚いたような戸惑っているような目線は、怖かった。

でも、そうなってしまう程に、時間をかけてまで距離を作っていたのは自分だから。

私が慣れないように、皆も慣れない。

だけど、お互いに当たり前になる日が来るまで、諦めなければいいんだ。


「雪人先生、残りの手続きの書類、持ってき…」

なんていうか、タイミングってやっぱり、時には皆の動きを監視してるのかって思うくらいに、怖い時がある。

華ちゃんが、冬島先輩と一緒に保健室に入って来た。


華ちゃんと直接顔を会わせるのは、華ちゃんが泣きながら謝りに来た日以来だ。

すごく、気まずそうなバツの悪そうな顔をしていたけど、

「飯田君に聞いた。小春っち、クラスに戻れたって…」

ポツリポツリと話し出す。
< 358 / 389 >

この作品をシェア

pagetop