君の声が、僕を呼ぶまで
そして、桜子ちゃんが、私を見つけてくれた。

再び、人を拒絶する世界に閉じこもった私に、雪人先生と同じように、諦めずに何度も手を差し出してくれた。

その手を取って、暗くて重たい世界から、少しでもいいから優しい世界に近付きたくなった。


それを掴もうと伸ばした私の手には、黒ネコ柄の絆創膏。

誰が、こんなクタクタになった絆創膏に、目を留めるだろう。


飯田君が、こっちを見ている。

ずっと、見守っていたって言った。

本当に、私の背中に、最後の一押しをくれた。


雪人先生とは違う目。

今朝のサラとも違う目。

初めて、飯田君の目を、逸らさずに見ている気がする。
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