君の声が、僕を呼ぶまで
「その時も今日みたいに寒い冬の日だったけど、太陽みたいに明るくて、優しい人でした」

「…そっか」

「沙羅とは部活見学の時に知り合って、一緒に入部したんですけど」

「あ、あぁ、そういえば、最初から仲良かったよな」

「友達思いの良い子です」

「…うん、知ってる」

「智秋の事で心を痛めてたけど、それもようやく落ち着きました」

「…そうだな」

「先輩、もう一度、沙羅に気持ちを伝えないんですか?」

「…え?」

「小春と山崎さんの事で、智秋まで傷付いてるからって、あの時沙羅は言ってました。でも、先輩の事嫌いだなんて、一言も言った事ないんです」

「好きだとも言われた事ないんだけどね」

「沙羅は優しいから…」

「そうだなぁ。残酷なくらいに優し過ぎたなぁ…」

「そんな言い方…」
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