君の声が、僕を呼ぶまで
グラウンドから勢いよく飛び込んでくる、体育の授業の掛け声。

ピアノの音色に乗って、流れるように聞こえてくる合唱曲の練習。

耳を澄ませば、黒板をカツカツ叩くチョークの音と、それをノートに写そうと必死に鉛筆を走らせる音まで聞こえてきそうだ。



少しだけ、鼻にツンとくる消毒液の匂い。

それらがラべリングされて並べられている棚。

ふわふわの脱脂綿、切り口がよれたテーピング。

鈍く銀色に光る、ハサミやピンセット。


清潔感のある白いシーツはピシっと敷かれている。

今日はまだ、誰も使ってないようだ。


クリーム色のしきりカーテンが、中庭からの風でふわりと揺れる。

その風が、雪人先生の白衣までも揺らした。



…今日も私は、保健室で一日を過ごす。
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