君の声が、僕を呼ぶまで

●桜が見つけた、雪中の春

・・・キーンコーンカーンコーン


三日に渡る戦いの末、最後の答案用紙から解放してくれる救いのチャイムが鳴り響く。

ある者にとっては、最後の足掻きを無情に蹴散らす、呪いの告示だったかもしれない。


何にせよ、シンとしていた教室に、数日振りに活気が戻った。



「桜子、問4、解けた?」

「うーん、一応、自信はある…かな」

「さすが!」

「沙羅は?」

「最初の計算が間違ってたら、数珠式に全部アウトって感じ…」

沙羅が、うーんとした顔で言う。


「あとは、神のみぞ知る…ってヤツだね」

「神頼みより、先生様頼み!」

「賄賂でも渡す?」

拝むように手を合わせている沙羅に、笑いながら言うと。
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