君の声が、僕を呼ぶまで
…悔しい。


いくら今は先生だからって、ちょっと…まぁ10歳をちょっとで済ませていいか分からないけど、年が離れてるだけの従兄弟なのに。

こんなに気を遣わなきゃいけないなんて。

しかも、気を張っているのは、私の方だけ。



「じゃあ、それ、よろしくね」

「あ、あぁ、はい」


雪兄ぃの背中を見送りもせず、私はすぐ教室に戻り、渡されたプリントを見た。



-『相川小春』


うちのクラスの子。

出席番号で、私の前。

だけど、さっきまでのテスト期間中、私の前の席はずっと空いていた。


…ううん、今まで一度も、彼女がこの教室の自分の席に座った事は、ない。
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