君の声が、僕を呼ぶまで
もうすぐ、梅雨。
肩身の狭い廃れた軟式テニス部が、雨の日に体育館を借りて筋トレしたいだなんて、他の部活からの風当たりが強い。
…と、去年の部長、冬島先輩のぼやきを聞いて、何となく察していた。
学級委員も、部長も、断る理由がないので、引き受けた。
「しっかりしている」と、昔からよく言われるタイプではあるけれど。
さっき沙羅にも言ったように、大変だと思わなければ、そこまで大変じゃない。
ただ、勝ち目の低い交渉事に臨まなければならないと思うと、今から気が重い。
とりあえず、早くこの用事を済ませてしまおう。
「失礼しま…」
「小春ちゃん、よく頑張ったねぇ」
「…ぁす…」
私は、無意識に語尾を弱めた。
「あ、植木さん」
雪兄ぃが、保健室のドアを開けた私に気付いて、声をかける。
その隣で、控え目にだけれど、嬉しそうに笑う女の子がいた。
…相川、小春、さんだ。
肩身の狭い廃れた軟式テニス部が、雨の日に体育館を借りて筋トレしたいだなんて、他の部活からの風当たりが強い。
…と、去年の部長、冬島先輩のぼやきを聞いて、何となく察していた。
学級委員も、部長も、断る理由がないので、引き受けた。
「しっかりしている」と、昔からよく言われるタイプではあるけれど。
さっき沙羅にも言ったように、大変だと思わなければ、そこまで大変じゃない。
ただ、勝ち目の低い交渉事に臨まなければならないと思うと、今から気が重い。
とりあえず、早くこの用事を済ませてしまおう。
「失礼しま…」
「小春ちゃん、よく頑張ったねぇ」
「…ぁす…」
私は、無意識に語尾を弱めた。
「あ、植木さん」
雪兄ぃが、保健室のドアを開けた私に気付いて、声をかける。
その隣で、控え目にだけれど、嬉しそうに笑う女の子がいた。
…相川、小春、さんだ。