君の声が、僕を呼ぶまで
「相川さん、テストお疲れ様。気を付けて帰るんだよ」

雪兄ぃが、場の空気を滑らかにするように口を開いた。


カバンで顔を隠したままの相川さんは、縮こまって頷くが、動こうとしない。



あぁ、私が入り口に立っているからか。


スッと横にズレたけど、それでもまだ、彼女は躊躇っている。



「玄関まで、一緒に行こうか」

雪兄ぃが、相川さんにそう提案すると、彼女はコクコクと、勢いよく首を縦に振る。


「じゃあ、ちょっと行ってくるから、植木さんはここで待ってて」

「はい」
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