君の声が、僕を呼ぶまで
「…ぷっ、冬島先輩って面白いね」

「うんうん」

お、新入部員同士、少しずつ打ち解けてきたみたいだ。

やっぱ、笑いは世界を救うんだな。

あ、俺、芸人じゃないんだった。


「だけど、うちの売りは、こんな寂れた場所でも決してめげずに強い精神を持ち、常に上を目指す事…そう、俺らは軟弱テニス部ではなく、硬派テニス部なんだ!」

「…ちょっと、それはややこしいし、無理があると思います…」

調子に乗り過ぎた。


「い、今のは、お前たちの緊張をほぐしてやろうと思って、わざとだなぁ…!」

「分かってますよ、部長―」

「あ、そうだ、もう一つ」


新入部員に部長と呼ばれる。

憧れていた良い響きだけど。
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