君の声が、僕を呼ぶまで
「俺の事は、公の場面の時以外は、部長じゃなくて、名前で呼ぶように。うちの一番の売りは、アットホームなとこだからな」


実際に呼ばれると、くすぐったさより、むず痒さを感じた。


うん、これでいこう。

その方が、俺らしい。



「ほら、呼んでみ?」

適当に、男子を1人選んで、促してみる。

「えっと、冬島?」


いきなり、これかよ!

「バッカ、先輩を呼び捨てにするヤツがあるか! いくら俺でも、そこまで心広くないぞ?」

「す、すみません」

「仲良しとなぁなぁの慣れ合いは違うだろ? それじゃ、それこそほんとに軟弱テニス部になっちゃうだろうが!」

皆がくすくす笑っている。
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