君の声が、僕を呼ぶまで
「あ、そういえば…」

桜子が、来てたんだった。

さっき教室に持って行って渡したプリント持ってたな。

小春ちゃんを玄関まで送ってくるから待ってて、って言ったつもりだったけど。


「帰ったかな」

あいつ、皆の前では頼れるしっかり者だけど、俺に対しては冷たい。

昔なじみの従兄弟が先生面してるのが、気に食わないのかもしんねーな。


…誰が何と言おうが、先生だっつーの。


持っていた書類の封筒を机にポンっと置いて、とりあえず本当にお茶でも飲もうかなと、急須へ手を伸ばすと。
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