幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
いつもきっちり整い、一本も乱れの無い髪がワックスさえ塗られていない。
葵くんを抱っこして眼鏡がずれてもお構いなし。
何十万とするオーダーのスーツも、ネクタイも、今日はよれよれだった。
190センチ近い高身長に、真面目そうなきっかりした髪に、少し垂れ目がちな目は優しそうにくしゃくしゃで、爽やか。
一見穏やかで、ストイックな雰囲気の兄が、溺愛する葵くんをたべてしまいそうな勢いであやしている。
「お兄ちゃん」
「ああ、相変わらず可愛いな美結。身長、縮んだ?」
「縮んでない! てか帰るのもっと後だったんじゃないの? なんで此処に居るの」
「仕事でもこっちでも俺の代わりが居ないのならば、俺が行きたい場所を選んで何が問題ある。仕事は信頼できる仲間に任せられるが、二人は信頼していても任せている場合じゃないだろ」
我が兄ながら、我が道を行くと本当に感心する。
けれど、瞳さんがベッドの上で大粒の涙を流して喜んでいるのを見たら、怒るに怒れなかった。
それどころか褒めてしまいそうだ。