幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
エピローグ
怒涛の二週間が過ぎた。
正確に言えば、お兄ちゃんと葵くんにとって怒涛の二週間だった。
一日休んだお兄ちゃんは、どたばたと移動や仕事の引き継ぎに追われていたけど、夜はどんなに遅くなっても葵くんの隣で眠っていた。
瞳さんは依然、トイレ以外はほぼ寝たきりを余儀なくされているけれど、おなかの赤ちゃんは大きくなって安定している。
私と飛駒は、お兄ちゃんの目を盗んではイチャイチャし、今まで通り葵くんのお世話をした。
そしてお兄ちゃんがまたオーストラリアに戻り、向こうでの仕事の引き継ぎを終わらせ今日帰国する。
葵くんは、瞳さんのご両親たちと一緒にお兄ちゃんを迎えに空港へ行った。
ので、今日の夜は私と飛駒だけになる。
お兄ちゃんが戻っても、しばらくは葵くんのサポートをし続けたいけれど瞳さんが退院する前に私の痕跡があのマンションに残っていたら邪魔になりそうなので、近々出て行くことになった。
お兄ちゃんはそれはそれは反対したし、葵くんも泣いて嫌がったけれど、瞳さんと妹ちゃんが増えたらあのマンションには私に居場所はいらない。
「……だからと言って、これでいいのかなあ」
仕事を終え、ロッカーを開けて自分の顔と目が合って思わず零してしまった。
「市井先生、思い詰めた顔で独り事言って大丈夫ですか?」
「や、大丈夫って、ひっ」
慌てて隣の七村先生に笑って誤魔化そうとして、驚いてしまった。
私の隣に、淡い水色の綺麗めなワンピースを着た背の高いモデルが立っていたから。
それが七村先生の合コンスタイルだと理解するのに数秒かかってしまった。