幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
「にいにのびょういん、にかいだて! おおきいよ」
「なー。妊娠中だから姉貴は連れていけないけど、葵は見に来たよな」
二階建ての動物病院を、一歳年下の飛駒が開業?
大学出てすぐ開業とかできるの?
混乱している私をよそに、飛駒は胸ポケットにいれてあったタイマーの合図に『やべ』と立ち上がった。
「じゃあ仕事場に戻る。何かあったら連絡しろよ」
「連絡先、知らないじゃん。仕事場の連絡先教えておいて」
「あれ、そうか。交換してねえよな」
すぐに携帯を取り出して、私の電話番号を登録し出した。
「一緒に住むとは言ってないし、やっぱり嫌だから鍵返して」
「いやだ」
飛駒は、携帯に私の番号を登録し終えると、こっちを睨む。
その目の鋭さは、昔とは違う。
胸をえぐるような、熱を帯びた瞳だった。
「連絡先ぐらいで俺は全然満足してないから」
「満足って何を」
「この何年も散々邪魔されるわ、開業で忙しいわで、全然俺の時間が取れなかっただけ。本当はもっと知りたいし、もっと一人占めしたい」