幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
その目だ。その真っ直ぐに私を見る目。
まるで睨まれているようで怖かった。
言葉を詰まらせた私に、飛駒は目を逸らさなかったが、代わりに少し寂しげな表情を見せた。
「うん。今までの俺が悪いな。でも今日から怖がらせないようにする」
一瞬でも怖がってしまった私に、それでも歩み寄りたいと、飛駒が一歩近づいてきた。
それを私は受けとめることもできずに、俯いてただ葵くんを抱きしめる。
「にいに、さっさといかないと!」
「おお、行ってきます」
パタンと扉が閉まり、お見送りもしないまま足音だけが遠ざかっていく。
「みゆおねえちゃん、にいにとケンカしてるの?」
不思議そうな、そして探る様な葵くんの瞑らな瞳に見上げられて良心が痛む。
子どもに心配をかけてはいけないのに。
「うーん。違う、かな。結婚してないのに、飛駒と一緒の家ってのはね、やっぱダメなのよ」
「えー、なんでー」
話から逃げるように、子ども部屋のクローゼットから布団一式を取り出す。
明日の朝、干しておかないと。
「ねー、なんでー?」
おろおろと心配する葵くんに、苦し紛れの言い訳を必死で考える。