幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
耳元で囁かれ、思わず手で払いのけた。
耳の周りにハエが飛んでいるかのように、払いのけた。
せっかく夢を見ていたのに、ハエがうるさい。
「にいに、みゆねえちゃんはきのうイッパイがんばったからつかれてるんだよ」
「そうなんだけどさ、これ以上寝てたら遅刻しちゃうんだ」
「くるまでいけばいいじゃん」
「んー、車かあ。じゃあ俺のキスで起きなかったらそうするか」
……ん?
キス?
重い瞼がなかなか開かず、現状が把握できていなかった。
あと数時間は眠りたい。それが無理なら遅刻ギリギリまでごろごろしていたい。
そんな寝ぼけた思考の中をまどろみ、うとうとしていたらサラリと前髪を掻きあげられる。
一瞬、状況を理解できず固まった。
が、額に温かい唇が当てたれて、目がぱっちりと開いて目が完全に冷めた。
「お、起きた。王子様のキスは唇以外も有効か」
「朝から何を気持ちの悪い――!?」