幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
「……」
「あれ、おーい、おはよう」
顔の前で両手をブンブンと振られる。
状況を理解するのに数秒。飛駒の顔に平手打ちをお見舞いするのに一秒。
それをかわされるのに0,1秒ぐらいかかっただろうか。
「あっぶねー。良かった。額にちゅってして起こすところだった」
「な、な、なんで、信じらんない! なんで人の部屋に入ってきてるの! ばっかじゃないの!」
慌てて上体を起こす。
私の部屋はドアを開けるとすぐにリビングで――。
そのリビングでは幼稚園の制服のブラウスに着替えている葵くんの姿が見えた。
「葵が起きて準備してるのに、お前が全然起きないから仕方なく起こしたんだよ。最初は扉の前、次は扉開けて、最後に耳元で」
がーんっと漫画みたいな効果音が浮かんできそうなぐらいショックだった。
私、自慢じゃないけど本当に朝起きるのが苦手なんだけど、ここまで飛駒に来られないと起きないとか自分でもショックだ。