幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
「ばあば達は? パパとは連絡できた?」
私の質問に葵君は首を振る。
「ぱぱは、おーすとらりあ、にいちゃんはやきん」
「ばあば達は?」
「ひいばあばのびょういん、こっちくる」
早口で事務的に喋ると、私の肩に顔を埋めた。
葵君は、びっくりするぐらい利発的で聡明でとても良い子だ。
今もきっと、ぐっと我慢しているのが伝わってくる。
「そっか。あ、葵くん、ご飯食べた? 皆来るまで隣のレストラン行こうか?」
助産師さんから色々話を聞きたかったけれど、葵くんのケアのほうが大事そうな状況だったので、助産師さんには目で合図した。
察してくれたのか頷き、またお義姉さんの病室へと向かった。
「おむらいす、たべたい」
「うんうん。いいよ。行こう」
「ま、――ママのおむらいす、たべたい」
「葵くん……」
私の肩に顔を埋めて小さく、声を殺して泣いていた。
「大丈夫だよ。今ね、葵くんのママのお腹の中に葵くんの妹か弟がいるのは知ってるよね?」
「うん。でもしんじゃうかもしれない」
「誰がそんなこと言ったの!?」
驚いたけれど、葵くんは頭が良い分、周りの空気を読んで行動することがあったから、それを聞いて不安な心を表に出してくれたらしい。
私は、葵くんを抱っこしたまま、廊下に置かれていた長椅子に座った。
「あのね、葵くんのママはね、今日から此処に入院するの」