幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
あずまくんとお母さんが見えなくなるまで手を振った後、私達もレジへ向かう。
「しんどい」
飛駒がぽろりと言い放つ。
「仕事が疲れてるの?」
「はぐらかすなよ。俺、はやくお前と結婚したくなった」
「……ばっかじゃないの」
そう冷たく突き放すけれど、私の顔は真っ赤だった。
ここが人の多いスーパーで良かったとおもう。人が多いから控えめな飛駒のアピールで助かった。
私はこいつの目に見つめられたらきっと上手くかわせないし、一歳年上という余裕が全く持てないのだから。
「で、今日のご飯は?」
「きのことベーコンの和風パスタとオニオンスープ」
「すっげ。俺のリクエスト、全部クリアじゃん」
まるでブンブンと尻尾を振る犬のように、ころりと表情を変えて笑った。
そんな所が、昔と違って戸惑うけれど嫌いではない。
「どうしたら俺の気持ちが全部届いて、美結も俺を好きになってくれるんだろうな。俺、けっこう直球なんだけど」
車にキーを差し込み、エンジンをかけながら独り言のように呟く。
それを私に直接言うには、まだ自信が無いらしい。
それほど私たちの幼馴染として擦れ違っていた時間は長かったんだ。