幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
「だからと言って、そんな騙すみたいなの卑怯よ」
「あのね、パパ。さんにんでいっしょにねたよ、ぼくのへやー」
追い打ちをかけるような葵くんの言葉に、受話器の向こうで何かが破壊される音がする。
うちの兄は、ちょっとどころかかなりの過保護なのは認める。
けど自分の家族が出来てからは私への干渉は激減したと思っていたんだけど。
「てか、これって国際電話だろ、電話代高いから切ろー。ほら、葵、ばいばーい」
「ばいばーい。はやくかえってきてねー」
心から嬉しそうな様子なのは葵くんだけ。
飛駒からは何とも言い難いオーラが漂い、瞳さんは苦笑いし、私は頭を抱えているのだった。
「ぼく、いいこする! いいこしたら、きっとパパ、はやくかえってくるし、ながくいてくれるし」
「うへえ。じゃあ俺、悪い子でいいわ」
「飛駒」
車で家に帰る中、うきうきした葵くんに聞こえないように飛駒の耳を引っ張る。
「……美結に近づく奴は、悪い奴扱いなら、とっくの昔から悪い子だからな」