絶望の空の色
絶望の空の色


2013年12月。
クリスマス間際で浮かれる街の片隅で。
私は失意のどん底にいた。

街はキラキラ。
イルミネーションが輝いて、大きな道路の真ん中にそびえ立つ、あのタワーの上から見たら車の光も相まってそれは綺麗な夜景を作り出していることだろう。
その中に、うつむく私がいたとして、光の風景のなかでは誰も気にも止めないし夜景の一部でしかないのだろうけれど。






―――遡ること、10分前。

「お前って、俺と仕事のどっちが大切なわけ?」

まるで女の子が言うような台詞を吐いたのは間違いなく目の前に居た男性。
日野恭平、働き盛りの32歳。
彼は普通のサラリーマンで、私は駆け出しと言える頃を過ぎた28歳のウェディングプランナー。
生活なんて、合うはずもなかった。
土日休みの彼には、土日が本番みたいな私の仕事はどうにも理解が追い付かないらしい。
いや、彼も馬鹿じゃないし、もちろん理解がない訳じゃないのだ。
ただいかんせん、私の中で仕事の占めるウェイトが彼にとっては大きすぎた、ということで。

「恭平くんのことは大事だよ」

そう言ってはみても、どうやら彼の心には響かなかったようで「そうかよ」と口許で呟いて、くるりと背を向けて去っていった。

分かってたよ、そんな言葉じゃ繋ぎ止めておけないことなんて。
分かってたよ、それくらい、あなたに甘えていたことは。



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