【溺愛症候群】
最後に残った鍋に半分手を付けたところで、俺は箸を置いた。
「あれ、ハユくんもういいの?」
デザートに出てきたゼリーを掬いながら、席を立ちかけた俺を見上げる。
「ん、いい。あとから一仕事しなきゃいけないし」
「あぁ、そういやロシルーあったっけ」
俺が残したオレンジゼリーをちゃっかり食べながら、智が今更思い出したように言う。
「ロシルー?」
「智的ロシアンルーレットの略」
「あっ、そうだった!」