【溺愛症候群】

2-14 たぶん、藍色。




「ハユにしては珍しいことしてたな」


 智はマシュマロを1つ、摘んで口に放り込んだ。


「うん?」


 ぱちん、とハサミで持ってるものを小さく切った。


「『コウちゃん抱っこ事件』」


 智に言われ、作業する手を止める。


「あー、あれ。無性にからかいたくなったから」


 妹みたいだったから、という言葉は流石に失礼だろうと思い、ハサミでぷつんと断ち切った。


「『からかいたくなったから』、でからかわれるこっちの身にもなってください」


 憤然として言う彼女はいたって真面目な表情で、またからかいたくなる。



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