【溺愛症候群】



「結城、由宇季。名字も名前もユウキなんです。粋狂な親がつけたんですよ」

「あ、そうなんですか。変わった親御さんですね」


 自分の親を粋狂と評するユウキ先輩は、腕組みをして至極落ち着いた口調だった。


「あ、出番のようですよ。水は持っててあげますからさっさと行きなさい」


 手の中から素早く紙コップを取り上げられ、背中を押される。

 小さく何かを続けるユウキ先輩の声は、ざわめきに掻き消されて聞こえなかった。



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