【溺愛症候群】
「出たぞ」
「うぃー、了解」
ベッドに寝転がりリモコンでチャンネルを変えまくっていた智はバネ仕掛けの人形みたいに飛び起きると、既に用意してあった服を掴んでバスルームに直行した。
智は相変わらず風呂好きのようだ。
部屋に用意されていた、無駄にふわふわしてお日様の匂いがしない真っ白なバスタオルで頭を拭きつつテレビを見ると、葬式みたいに黒いスーツを着た男が宇宙人相手にドンパチやっているところだった。
やられた宇宙人に軽く同情をしているところに、ブーっとクイズに外れた時のようなブザー音が響いた。