【溺愛症候群】
1-3 手渡す、若葉。
教授がやってきて、ざわついていた教室は静まり返った。
俺はジャケットの汚れを取ることを諦め、再び袖を通した後、教授を見た。
背の高い、とてもラフな格好をしたおっさん。
見た目ではどこが教授なんだろう、といったかんじだ。
もし街中で見かけても、教授なんて職に就いている人間には到底見えない。
ゴルフ帰りのような服装して、手には抱えてきたのが驚けるほどのプリントの束と、よくわからないV字のローテクっぽい機械。
あれが配られるかと思うと、初っぱなからうんざりする。