【溺愛症候群】



 いちいち命令口調の教授は、ローテクっぽいV字の機械をまわす。

 あれ、ホッチキスだったんだ。


 手順よく回ってきたホッチキスは、必要最小限の機能を搭載した、家庭用サイズなんか比じゃないくらいに大きいものだった。

 智がやっていたのを見よう見真似でやる。

 紙を揃え、上の方をストッパーに合わせ、レバーを押す。

 ガチャコン、という音とともにレバーに少しの抵抗を感じ、針は無事に重なった紙を通った。




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