【溺愛症候群】
1-6 刺激と眠さの、灰。
大学生というのは、思っていたよりも自由じゃないらしい。
自由に組める時間割は、意外に制約が多い。
なんだかんだ言って取れる授業の幅は狭く、様々な授業で入学式で見掛けた顔ばかりを目撃した。
勿論同じ班の人たちの顔も、幾度も見掛けた。
教室や教授が変わっていっても代わり映えのない顔触れに、高校を思い出す。
「─────というようになっているんですね」
穏やかな話し方をする老教授の声に、目蓋がゆるりと下がる。