【溺愛症候群】



 よく使用するからか、刺激の強さが一番強いやつじゃないと効かないそれが。

 細い指が摘んだ強力な灰色のタブレットは、篠沢の口に吸い込まれた。


「あ」


 小さく声を出してしまったら、こっちを向いた。


 咄嗟に手が口を隠した。


 あぁ、気まずい。


 タブレットしか見てなかったから、篠沢だったなんて気付かなかった。


 俺の口の馬鹿。俺の大馬鹿野郎。




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