【溺愛症候群】
「何、君たち。いつの間に名前で呼び合う仲になったの?」
俺とチィの顔を交互に見て、目を丸くしている。
俺の性格を考えれば、納得だが。
「お前が惰眠を貪ってる間に」
「坂城くんが気持ち良さそうに居眠りしてる時に」
同時に違う言葉を両方向から聞いて、聖徳太子であるわけでもないのに、聞き取れたのだろうか。
とりあえず、鳩が豆鉄砲を食ったような顔してる。
俺は俺で、ひとりでチィと共犯者のような気分になっていた。