【溺愛症候群】
「おー。女子校にそんな長くいたら、男子と接触する機会なくない?」
「んー、ないねぇ。バイト禁止だったし」
手が完全に止まっていたことに気付き、パンを再び口に近付けて、今度こそ齧る。
「やっぱ厳しいんだ、そういうの」
「うん。それに、バイトしなくてもみんなお金持ってるんだよね」
「「やっぱお嬢じゃん」」
声が重なり、口にほうれん草を運ぶ小さな箸が止まる。
「……もう、いいや。慣れてるし。2人は?」