【溺愛症候群】
2.沈
2-8 壁のある、漆黒。
空を見上げれば、雲一つ見えない快晴。
普通ならば絶好の遠足日和とでも言いたいところだが、今から行くのはホテルに缶詰する研修旅行だ。
こんな快晴の日をあえて無駄にするなんて、世の中間違ってる気がする。
「ハユはそこの席な」
班長である智が仕切って座席に振り分けられる班員たち。
俺は智が陣取っている席のすぐ後ろで、周囲を見るとどうも異性同士で席に座るらしい。
きっとこの教授のことだから、おおかた出席番号順に振り分けたのだろう。
片道2.5時間。
親睦を深めろ、ということか。