【溺愛症候群】



「香田さんはハユの隣ね」


 智の声に通路を見れば、黒髪と強い瞳がこちらに近づいていた。


「香田さん、おはよう」


 俺は立ち上がり鞄を持って、席を空ける。


「おはようございます」


 とても丁寧ではっきりとした発音に、日本語のお手本のテープを聞いている気分になる。




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