【溺愛症候群】
「な、に……?」
ああ、やっぱり。
辛そうな声に、逼迫したような表情に、予想は確信へと変わる。
「車酔い、キツい方だったりする?」
彼女は驚いたように多少目を見開いたが、すぐに諦めたような顔で頷いた。
「……何、で?」
喋るのも辛そうで、その声や姿が記憶とだぶる。
「妹が酔いやすいから、様子が似てるなって。吐き気はない?」
首が、ゆっくり縦に振られる。
状況は未だそんなに深刻ではないようだ。
「よかった。じゃあ、気持ち悪いだけなんだね?」
再び縦に動く頭。