【溺愛症候群】
その後の予定は驚くほど順調に進んだ。
ホテルに缶詰して、1歩も外に出ないのだから、教授たちの喋りが延長されない限り、予定がずれ込むことはない。
ガイダンスの時に負けず劣らずの量のプリントと冊子を回され、これを持って帰るのかと思うとうんざりする。
鞄の中は荷物も少なくすかすかだったから、入れるのに困ることはないだろうが。
とりとめもないことを考え、大学生活で教授たちが重要と思ったことや先輩たちの話を聞き、太陽が出ているうちの8割を屋根の下で無駄に過ごした。
夕日になろうかという頃になり、ようやく俺たちは会場の無駄に背もたれの高い椅子から解放されたのだった。