【溺愛症候群】



 ベッドが2つ、窓辺にテーブルと椅子が2つ。

 テレビは無駄に最新型で薄っぺらい。


 ビジネスホテルよりは装飾があって広く、有名観光地の有名ホテルよりはさっぱりしていて狭い。

 妥当といえば、妥当な部屋だった。


「おー、海だ」


 智の歓声にカーテンを開けられた窓を見れば、ゆるくカーブを描く水平線が見えるほどだだっ広い海があるだけ。

 丁度、太陽が沈んでいくところだった。


 景色が良いといえば良いのだろうか。




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