涙 恋
第一章 出 逢 い
涙の出逢い
駅から延びる歩道橋の上を、オレはダルそうに
歩いていた。
下を向いて、ダバコをくわえながら歩いていた
オレの視線に
飛び込んできたのは
車椅子に座っている
女の子。
光の反射で表情も認識
出来ないその女の子
何故か判らないけど、
その子から視線を
逸らす事が出来なかった
徐々にその子との
距離が縮まりその子の
表情がしっかり認識
出来るようになった。
その子は ひとり
橋の上で 泣いていた…
通りすがりの人に
ナンパだと勘違いされるのもイヤだったし…
いつもなら面倒くさくて
無視して通り過ぎるのに
気になって…
ほっとけなくて…
声をかけてしまった。
『 大丈夫 ? 』
『 ……… 』
その子からの返答は
なかった。
内心―なんだ コイツ―
って、ちょっと
イラッときた。
もう一回だけ声をかけて
それでも返事がなかったら、ほっといて帰ろって
決めて声をかけた。
『 どうしたの ?
大丈夫 ? 』
『 ……… 』
やっぱりと言うべきか…
返答はまたしても
なかった。
もういいやって
歩き出そうとした時
微かに本当微かに
声が聞こえた気がした…
とっさに振り返り
聞き直してみた
『 えっ!? 何?? 』
何も返ってこない…
気のせいかと再び
歩き出そうとした時
今度ははっきりと
確かな言葉が耳に
飛び込んできた。
『 …タ…シ……
…シ……ヌ…ノ 』
― 死ぬ ― ???
やっとしゃべったかと
思ったら…
何言い出すんだ
いきなり!?!?
心の中では
頭おかしいんじゃねぇって思ってたのに…
オレはどうしても
その場から動けずにいた