小倉ひとつ。
「瀧川さんは秋ですか?」


なるべく自然に、いつも通りの口調を意識して尋ねながら、鞄からスマホを取り出す。


よし、これで準備は万端。


「秋です。名前とは全然関係ないですが……ああ、立花さんとちょっとだけ似てるかもしれません」

「似てる?」

「月の数字に一を足すと日の数字になります」

「じゃあ九月十日か、十月十一日か、十一月十二日かですね」

「その三択ですね」

「三分の一かあ、当てたい……!」


じいっと瀧川さんを見つめてみた。


相変わらず端正なお顔立ちだ。じい。


なんだか寒い時期が似合う気がする。はたまた紅葉が似合う気もする。じいい。


「……そんなに見られると緊張しますね」


穴があいてしまいそうです、と困った顔で少し顎を引かれてしまった。


すみません。でも見る。じいい。


「なんとなく、ですが。九月十日でしょうか」

「正解です」


即行でメモを取る私の手元を見て、瀧川さんが口元を緩めた。
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