小倉ひとつ。
お抹茶をいただいて、声をかけてくださった常連さんと軽く世間話をして、きりきり痛い胸を抱えながら戻ってくると、まだお電話の途中だった。
ゆっくりしてきたつもりだったんだけれど、予想以上に時間がかかっている。
少し離れて待っていようかなあ、やっぱり戻ろうかな、なんて立ち止まった私に気づいた瀧川さんが、無声音で口を動かしながら私の席を指を揃えた手のひらで指し示した。
多分、どうぞ、の意味。頭を下げて席に座る。
返礼ついでににっこり微笑まれるのに遠慮しつつ、視線は一応外しておいて、もらってきたお抹茶をちびりと飲んだ。
ああもう、こういう仕草ひとつで好きが積もる。
うん、うん、と少し離れたお向かいで頷いていた瀧川さんは、分かった、と言って。
「ええと、変なこと聞いてごめん。そのミス何回目?」
え。
びくりと、まるで自分が聞かれたみたいに思わず固まる。
一瞬、怒るのかなと思った。何回やっても覚えないのを煩わしく思う人は多い。
でも、瀧川さんは「そっか」と優しく相槌を打っている。
怒る感じはしないけれど、なんで回数なんて聞いたんだろうと密かに首を傾げていると、ことさら優しい声色が続く。
「じゃあ直し方は分かると思うんだけど、説明しようか? 大丈夫?」
ああ、と思った。泣きたいくらいだった。
ゆっくりしてきたつもりだったんだけれど、予想以上に時間がかかっている。
少し離れて待っていようかなあ、やっぱり戻ろうかな、なんて立ち止まった私に気づいた瀧川さんが、無声音で口を動かしながら私の席を指を揃えた手のひらで指し示した。
多分、どうぞ、の意味。頭を下げて席に座る。
返礼ついでににっこり微笑まれるのに遠慮しつつ、視線は一応外しておいて、もらってきたお抹茶をちびりと飲んだ。
ああもう、こういう仕草ひとつで好きが積もる。
うん、うん、と少し離れたお向かいで頷いていた瀧川さんは、分かった、と言って。
「ええと、変なこと聞いてごめん。そのミス何回目?」
え。
びくりと、まるで自分が聞かれたみたいに思わず固まる。
一瞬、怒るのかなと思った。何回やっても覚えないのを煩わしく思う人は多い。
でも、瀧川さんは「そっか」と優しく相槌を打っている。
怒る感じはしないけれど、なんで回数なんて聞いたんだろうと密かに首を傾げていると、ことさら優しい声色が続く。
「じゃあ直し方は分かると思うんだけど、説明しようか? 大丈夫?」
ああ、と思った。泣きたいくらいだった。