小倉ひとつ。
8.掬い上げる指先
からりと引き戸が開く。
「いらっしゃいませ、おはようございます」
「おはようございます」
目が合った瀧川さんが、不思議そうに瞬きをした。
「立花さんと土曜日にお会いするなんて珍しいですね」
「息子さんご夫婦のお嬢さんの授業参観があるそうで、お手伝いに来たんです」
稲中さんの息子さんご夫婦の娘さんは、今ちょうど高校生だ。
まだ高校一年生だから、息子さんご夫婦は大丈夫かな、高校どんな感じかなって不安らしく、授業参観や文化祭などの学校行事に積極的に参加している。
今日はその帰りに一緒にご飯を食べて来るそうで、私は珍しくお仕事が慌ただしい。
夜遅くなってちょっと大変だけれど、いつもいろいろと心配りしてもらっているので、一日くらいなんてことはない。
自営業だからか、あまりまとまったお休みを取らないようにしているみたいで、私がアルバイトに入ってある程度お仕事が飲み込めるまでは、そういう行事にもなかなか参加しづらかったと聞いている。
稲やさんを稲中さんご夫婦おふたりで回すのは難しいものね。
楽しんできてほしいなと思う。
「いらっしゃいませ、おはようございます」
「おはようございます」
目が合った瀧川さんが、不思議そうに瞬きをした。
「立花さんと土曜日にお会いするなんて珍しいですね」
「息子さんご夫婦のお嬢さんの授業参観があるそうで、お手伝いに来たんです」
稲中さんの息子さんご夫婦の娘さんは、今ちょうど高校生だ。
まだ高校一年生だから、息子さんご夫婦は大丈夫かな、高校どんな感じかなって不安らしく、授業参観や文化祭などの学校行事に積極的に参加している。
今日はその帰りに一緒にご飯を食べて来るそうで、私は珍しくお仕事が慌ただしい。
夜遅くなってちょっと大変だけれど、いつもいろいろと心配りしてもらっているので、一日くらいなんてことはない。
自営業だからか、あまりまとまったお休みを取らないようにしているみたいで、私がアルバイトに入ってある程度お仕事が飲み込めるまでは、そういう行事にもなかなか参加しづらかったと聞いている。
稲やさんを稲中さんご夫婦おふたりで回すのは難しいものね。
楽しんできてほしいなと思う。