小倉ひとつ。
「行きつけなんですか?」

「はい」


ゆったり穏やかな、朝日が柔らかに射す店内で、決まった朝食を取るらしい。


モーニングセットがあるから外食してもお安く済む。


瀧川さんは好きなものはずっと食べ続けたい派で、メニューが決まっていると忙しくても悩む時間がかからないから安心だ、と、そういうことなんだとか。


瀧川さん、たい焼きも大抵小倉だもんね。好きなものはずっと食べ続けたい派なのは間違いない。


こちらのお店でモーニングセットをいただいて、少し歩いて稲やさんで予約をして、途中のコンビニで抹茶ラテとか抹茶オレとかを買いつつ、それから出社するっていう流れなんだろう。


瀧川さんが慌てているところはあまり想像がつかない。


きちんと決まった手順を頭の中でなぞって、瀧川さんらしいなあ、と思った。


「立花さん、お先にどうぞ」


というわけで、大体メニューを把握しているうえ、ほとんど頼むものが決まっている瀧川さんがメニューを譲ってくれた。


「ありがとうございます」


革張りの少し重い冊子を受け取って、机の上に置く。
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